【5分で始める - JSBSim XML Generator】シリーズ#


この記事で学べること#

  • サンプル機体Excelの取得方法
  • コマンド1行でXMLを生成する方法
  • 生成されたXMLファイルの確認方法
  • よくある躓きポイントと解決策

対象読者#

  • 第1回でインストールを完了した方
  • 実際にXML生成を体験したい方

前回は、JSBSim XML Generatorのインストールを完了しました。今回は、実際にXMLを生成してみましょう。

サンプル機体を使えば、たった2-3分で数百行のXMLファイルが自動生成されます。


ステップ1: サンプル機体Excelの取得#

まず、サンプル機体のExcelファイルを取得します。このファイルには、200g級RC固定翼機のパラメータがすでに入力されています。

方法1: GitHubからZIPダウンロード(推奨)#

  1. JSBSim XML Generator GitHubにアクセス
  2. 緑色の「Code」ボタンをクリック → 「Download ZIP」
  3. ZIPを解凍
  4. examples/sample_aircraft.xlsxを確認

方法2: git cloneでリポジトリ全体を取得#

git clone https://github.com/Yaaasoh/jsbsim-xml-generator.git
cd jsbsim-xml-generator/examples

サンプル機体の内容確認#

sample_aircraft.xlsxをExcelまたはLibreOffice Calcで開いてください。以下のような内容が入力されています:

  • 機体諸元: 翼幅、翼面積、翼弦長、重量、重心位置
  • 空力係数: 揚力係数(CL)、抗力係数(CD)、モーメント係数(Cm)
  • 推進系: プロペラ直径、ピッチ、エンジン推力
  • 操舵面: エルロン、エレベータ、ラダーの設定

これらのパラメータがすべて設定済みなので、すぐにXML生成できます。


ステップ2: XML生成(コマンド実行)#

いよいよXMLを生成します。コマンド1行で完了します。

コマンド実行#

ターミナルで、sample_aircraft.xlsxが保存されているディレクトリに移動してください:

cd /path/to/jsbsim-xml-generator/examples

/path/to/は実際のパスに置き換えてください)

次に、以下のコマンドを実行してください:

jsbsim-xml-generator --input sample_aircraft.xlsx --output sample_aircraft.xml

実行時間は1-2秒です。

コマンドオプション解説#

  • --input: 入力Excelファイルのパス
  • --output: 出力XMLファイルのパス(指定しない場合はoutput.xml
  • --trim: トリム探索を実行(オプション)

実行ログの確認#

コマンドを実行すると、以下のようなログが表示されます:

Reading Excel file: sample_aircraft.xlsx
Parsing aircraft parameters...
Generating JSBSim XML...
XML generated successfully: sample_aircraft.xml

successfully」と表示されれば、XML生成成功です。


ステップ3: 出力XMLの確認#

生成されたXMLファイルを確認しましょう。

XMLファイルを開く#

テキストエディタ(VS Code, Sublime Text, Notepad++等)でsample_aircraft.xmlを開いてください。

以下のようなJSBSim XML形式の機体定義ファイルが生成されています:

<?xml version="1.0"?>
<fdm_config name="sample_aircraft" version="2.0" release="BETA">
  <fileheader>
    <author>JSBSim XML Generator</author>
    <description>200g class RC UAV</description>
  </fileheader>

  <metrics>
    <wingspan unit="M"> 0.80 </wingspan>
    <wingarea unit="M2"> 0.16 </wingarea>
    ...
  </metrics>

  <mass_balance>
    <ixx unit="KG*M2"> 0.0012 </ixx>
    ...
  </mass_balance>

  <aerodynamics>
    ...
  </aerodynamics>
</fdm_config>

主要セクションの確認#

生成されたXMLには以下のセクションが含まれています:

  • <metrics>: 機体諸元(翼幅、翼面積等)
  • <mass_balance>: 重量・重心位置・慣性モーメント
  • <aerodynamics>: 空力特性(揚力、抗力、モーメント)
  • <propulsion>: 推進系(エンジン、プロペラ)
  • <flight_control>: 操縦系(エルロン、エレベータ、ラダー)

これらはすべて、ExcelファイルのパラメータからXML Generatorが自動生成したものです。


よくある躓きポイントと解決策#

問題1: Excelファイルが開けない(FileNotFoundError#

症状: FileNotFoundError: [Errno 2] No such file or directory: 'sample_aircraft.xlsx'

原因: ファイルパスが間違っている、またはカレントディレクトリが異なる

解決策:

# カレントディレクトリを確認
pwd  # Mac/Linux
cd   # Windows

# ファイルの存在を確認
ls sample_aircraft.xlsx  # Mac/Linux
dir sample_aircraft.xlsx # Windows

# 絶対パスで指定
jsbsim-xml-generator --input /full/path/to/sample_aircraft.xlsx --output output.xml

問題2: XML生成エラー(ValueError, KeyError等)#

症状: Excel読み込み後、XML生成時にエラーが出る

原因: Excelファイルのフォーマットが正しくない(セルの値が不正、範囲外等)

解決策:

  1. サンプルファイルをそのまま使用(改変しない)
  2. エラーメッセージを確認し、どのパラメータが問題かを特定

シリーズのまとめ#

【5分で始める - JSBSim XML Generator】シリーズ、お疲れ様でした!

たった5分で、以下を達成しました:

  • ✅ ツールのインストール
  • ✅ サンプル機体Excelの確認
  • ✅ コマンド1行でのXML生成
  • ✅ 生成されたXMLファイルの確認

次は、自分の機体のパラメータを入力してXMLを生成してみましょう。


次のステップ#

このXMLファイルをJSBSimFlightGearで読み込めば、飛行シミュレーションを実行できます。

おすすめの次のステップ#

  1. Excel入力の詳細を学ぶExcel入力テンプレート完全ガイド
  2. FlightGearで飛行テストするFlightGear連携ガイド
  3. 自分の機体の諸元を測定する実践チュートリアル

関連記事リンク#


参照資料#

本記事の執筆にあたり、以下の資料を参照しました:

公式ドキュメント#

  • JSBSim Reference Manual - Public Domain
    • Chapter 5 “Aircraft Configuration File”, p. 25-50 - JSBSim XML構造の参照

オープンソースプロジェクト#

  • JSBSim XML Generator - CC BY-NC-SA 4.0
    • サンプル機体ファイル(examples/sample_aircraft.xlsx)、コマンドラインオプション

© 2025 Yaaasoh. All Rights Reserved.

本記事の著作権はYaaasohに帰属します。引用部分については各引用元のライセンスが適用されます。