【Excel入力テンプレート完全ガイド】シリーズ#
この記事で学べること#
- 基本パラメータの種類と意味
- 各パラメータの入力方法
- 典型的な値の範囲(200g級RC機の例)
- 入力時の注意点とよくあるミス
対象読者#
- 第1回を読んで、これから入力を始める方
- 基本パラメータの意味を理解したい方
前回は、Excel入力テンプレートの全体像を学びました。今回は、具体的な入力方法を解説します。
基本パラメータは、機体モデル作成の土台となる最も重要な部分です。この記事を読めば、最初のXML生成ができるようになります。
基本パラメータとは#
基本パラメータとは、機体の物理的な特性を表す数値です。
主な項目:
- 幾何形状: 翼幅、翼面積、翼弦長
- 質量特性: 総重量、重心位置
- 慣性特性: 慣性モーメント(Ixx, Iyy, Izz)
これらのパラメータが、航空機の飛行特性を決定します。翼面積が小さければ高速、大きければ低速飛行に向きます。重心位置が前すぎれば機首下げ、後ろすぎれば不安定になります。
主要パラメータの入力方法#
翼幅(Wingspan)#
意味: 左右の翼端間の距離 単位: メートル(m)
典型的な値:
- 200g級RC機: 1.0-1.5m
- セスナ172: 11.0m
入力例: 1.2(1.2メートル)
注意点: 必ず実測値を使う。設計図と実物が異なる場合がある。
翼面積(Wing Area)#
意味: 翼の投影面積(上から見た面積) 単位: 平方メートル(m²)
典型的な値:
- 200g級RC機: 0.3-0.5m²
- セスナ172: 16.2m²
入力例: 0.4(0.4平方メートル)
計算方法: 翼弦長(平均)× 翼幅で概算可能
注意点: エルロン・フラップも含めた全体の面積
総重量(Gross Weight)#
意味: 機体の総重量(バッテリー、燃料含む) 単位: キログラム(kg)
典型的な値:
- 200g級RC機: 0.2-0.3kg
- セスナ172: 1,111kg
入力例: 0.25(250グラム)
注意点: 飛行状態の重量(実測推奨)
重心位置(Center of Gravity)#
意味: 機体の質量の中心位置 単位: メートル(m)、機首からの距離
典型的な値:
- 翼の前縁から翼弦長の25-30%の位置
- 200g級RC機: 0.15-0.20m(機首から)
入力例: 0.18(機首から18cm)
注意点: 重心位置は飛行安定性に最も影響する。メーカー推奨値を参考に。
入力時のよくあるミス#
ミス1: 単位の間違い#
翼幅を「120」と入力(1.2mのつもりがcm単位で入力)。必ずメートル単位を確認してください。
ミス2: 重心位置の測定ミス#
機首からではなく、翼前縁からの距離を入力してしまう。テンプレートの指示に従ってください。
ミス3: 空虚重量と総重量の混同#
総重量(Gross Weight)は飛行状態の重量です。バッテリー抜きの空虚重量と間違えないように。
次は空力パラメータへ#
基本パラメータの入力が完了したら、次は空力パラメータです。
空力パラメータとは、CL(揚力係数)、CD(抗力係数)、Cm(ピッチングモーメント係数)などです。機体の飛行特性を決定する重要なパラメータですが、少し難しいので、次回で詳しく解説します。
基本パラメータだけでも、とりあえずXMLは生成できます。まずは生成してみて、FlightGearで飛ばしてみましょう。
続きを読む#
基本パラメータの入力方法を理解できましたか?
次は、空力パラメータの入力方法を学びましょう。
→ 【第3回】空力パラメータ編 - CL・CD・Cmの入力方法
関連記事リンク#
- 【第1回】概要編 - テンプレートの全体像
- なぜExcelから始めるべきか - ツールの価値を理解
- 5分で始める - クイックスタート - ツールのインストール
参照資料#
本記事の執筆にあたり、以下の資料を参照しました:
オープンソースプロジェクト#
- JSBSim XML Generator - CC BY-NC-SA 4.0
- Excel入力テンプレート、パラメータ定義
その他#
- 筆者の過去調査データ(jsbsim_investigation, private repository)
- 200g級RC機の典型的なパラメータ値
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