JSBSim XML Generatorで初めてXMLファイルを生成したとき、「本当にこれで正しいのか?」と不安になることはありませんか?

本記事では、生成したXMLファイルが正しいか確認する3つの方法を解説します。目視確認からJSBSim CLIでのテスト、FlightGearでの動作確認まで、段階的にチェックする方法を学びましょう。


この記事で学べること#

  • XMLファイル構造の目視確認方法
  • JSBSim CLIでのテスト実行方法
  • FlightGearでの動作確認方法(概要)
  • よくあるエラーと対処法

対象読者#

  • JSBSim XML Generatorで初めてXMLを生成した方
  • 生成したXMLが正しいか確認したい方
  • エラーが出て困っている方

方法1: XMLファイル構造の目視確認#

テキストエディタで開く#

まず、生成したXMLファイルをテキストエディタ(VS Code, Sublime Text, Notepad++等)で開きましょう。

確認すべき主要セクション#

以下のセクションが存在するか確認します:

  1. <fileheader>: 機体名、作成者情報
  2. <metrics>: 翼幅、翼面積、翼弦長
  3. <mass_balance>: 重量、重心位置、慣性モーメント
  4. <aerodynamics>: 空力特性(CL, CD, Cm)
  5. <propulsion>: エンジン、プロペラ(あれば)
  6. <flight_control>: 操縦系(エルロン、エレベーター、ラダー)

基本的なチェックポイント#

  • XMLの構文エラーがないか(<>の対応)
  • 主要セクションがすべて存在するか
  • 数値が入力したExcelの値と一致するか

目視確認は簡単ですが、構文エラーは見つけにくいです。次のJSBSim CLIテストでより確実にチェックしましょう。


方法2: JSBSim CLIでのテスト実行#

JSBSim CLIとは#

JSBSim CLIは、コマンドラインからJSBSimを実行するツールです。FlightGear無しでXMLファイルの構文チェックができます。

インストール方法#

Windows:

pip install jsbsim

Mac/Linux:

pip3 install jsbsim

テスト実行コマンド#

XMLファイルが配置されているディレクトリで、以下のコマンドを実行します:

# 構文チェック(シミュレーション実行せずチェックのみ)
jsbsim --aircraft=my_aircraft --check-only

# 簡易シミュレーション実行(5秒間)
jsbsim --aircraft=my_aircraft --end=5

正常な出力例#

JSBSim Flight Dynamics Model, version 1.1.0
Aircraft: my_aircraft
Loading aircraft 'my_aircraft' ...
Successfully loaded aircraft configuration
Simulation completed successfully

「Successfully loaded」と表示されれば、XMLファイルの構文は正しいです。

エラーが出た場合#

エラーメッセージを読んで、どのセクションで問題が発生しているか特定しましょう。よくあるエラーは後述します。


方法3: FlightGearでの動作確認#

FlightGearとは#

FlightGearは、オープンソースのフライトシミュレーターです。JSBSim機体を可視化し、実際に飛行テストできます。これが最も確実な確認方法です。

基本的な手順#

  1. XMLファイルをFlightGearディレクトリに配置

    • Mac/Linux: ~/.fgfs/Aircraft/my_aircraft/
    • Windows: C:\Users\YourName\AppData\Roaming\flightgear.org\Aircraft\my_aircraft\
  2. FlightGearを起動して機体選択

    • メニューから自分の機体(my_aircraft)を選択
  3. 飛行テスト

    • 離陸できるか
    • 操縦に反応するか
    • 不自然な挙動がないか

よくある問題#

  • 機体が選択できない → XMLファイルのパスが間違っている
  • 起動時にクラッシュ → XMLに構文エラーがある
  • 機体が飛ばない → 空力係数・推力の設定が不適切

詳細は別記事で: FlightGearの詳しい使い方は、次回の記事で解説します。


よくあるエラーと解決策#

エラー1: Error: Could not find element 'wingspan'#

原因: <metrics>セクションに翼幅が定義されていない

解決策: Excel入力テンプレートで翼幅を入力し、XML再生成


エラー2: Error: Malformed number in element 'wingarea'#

原因: 翼面積に数値以外の値(文字列等)が入っている

解決策: Excel入力テンプレートで数値を確認、XML再生成


エラー3: Warning: Aerodynamics section incomplete#

原因: 空力係数(CL, CD等)が不足

解決策: Excel入力テンプレートで空力係数を入力、XML再生成

ポイント: ほとんどのエラーは、Excel入力テンプレートの入力ミスが原因です。エラーメッセージを読んで、該当するセクションをExcelで確認しましょう。


確認作業のチェックリスト#

XML生成後の推奨チェックフロー:

  • 目視確認: XMLファイルを開いて主要セクションを確認(1分)
  • JSBSim CLI: 構文チェック実行(2分)
  • FlightGear: 飛行テスト(5-10分)

ポイント:

  • 最初は目視確認で大きなミスを発見
  • JSBSim CLIで構文エラーを確実に検出
  • FlightGearで実際の挙動を確認

この3段階のチェックで、XMLファイルの品質を確保できます。


次のステップ#

XMLファイルの確認が完了したら、次は実際にFlightGearで飛ばしてみましょう。

FlightGearでJSBSim機体を飛ばす方法

その他の関連記事:


参照資料#

本記事の執筆にあたり、以下の資料を参照しました:

公式ドキュメント#

  • JSBSim Reference Manual - Public Domain
    • Chapter 5 “Aircraft Configuration File”, p. 25-50 - XMLファイル構造
    • Chapter 9 “Running JSBSim”, p. 95-105 - JSBSim CLIの使い方

オープンソースプロジェクト#

その他#

  • 筆者の過去調査データ(jsbsim_investigation, private repository)
    • JSBSim CLIの実行例、エラー事例

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