【RC機をJSBSimでモデル化する】シリーズ#
- 第1回(本記事): 機体諸元の準備
- 第2回: Excel入力とXML生成 →
「自分のRC機をシミュレーターで飛ばしたい!」という夢を実現しましょう。JSBSim XML Generatorを使えば、RC機を簡単にモデル化できます。
本記事では、200g級RC機を題材に、実践的な手順を解説します。第1回は、必要な機体諸元の準備です。
この記事で学べること#
- RC機をモデル化するために必要な諸元
- 200g級RC機の具体例(翼幅1.2m、重量200g級)
- 諸元の整理方法
- 次回(Excel入力)への準備
対象読者#
- 自分のRC機をシミュレーターで飛ばしたい方
- JSBSim XML Generatorを使いたい方
- 実践的な手順を知りたい方
題材となるRC機(200g級)#
今回は、200g級の小型RC機を題材にします。このクラスのRC機は、初心者にも扱いやすく、パラメータ推定も比較的簡単です。
200g級RC機の典型的なスペック:
- 翼幅: 1.0-1.5m
- 翼面積: 0.3-0.5m²
- 総重量: 0.2-0.3kg
- モーター: ブラシレスモーター(1000-2000 KV)
- プロペラ: 8-10インチ
今回使用する具体例:
- 翼幅: 1.2m
- 翼面積: 0.4m²
- 総重量: 0.25kg
- 翼弦長: 0.33m(翼面積÷翼幅)
ポイント: これらの諸元は、筆者の過去調査データ(200g級RC機)に基づいています。
必要な機体諸元#
JSBSimで機体をモデル化するために、以下の諸元が必要です。
基本諸元(必須)#
翼に関するパラメータ:
- 翼幅(Wingspan): 1.2m
- 翼面積(Wing Area): 0.4m²
- 翼弦長(Chord): 0.33m(翼面積÷翼幅で計算)
質量に関するパラメータ:
- 総重量(Gross Weight): 0.25kg(250g)
- 重心位置(CG): 翼前縁から25-30%の位置(典型値)
例: 翼弦長0.33mの場合、重心位置は翼前縁から0.08-0.10m
エンジン・プロペラ:
- 推力(Thrust): 2-3N(機体重量の8-12倍)
- プロペラ直径: 8-10インチ(0.2-0.25m)
空力パラメータ(簡易設定でOK)#
JSBSim XML Generatorでは、空力パラメータを簡易設定できます。初心者は、以下の典型値を使用:
- CL0(ゼロ揚力係数): 0.3-0.5
- CLalpha(揚力傾斜): 4.5-5.5
- CD0(ゼロ抗力係数): 0.02-0.04
- Cm0(ピッチングモーメント係数): -0.05-0.05
ポイント: 空力パラメータは、後でトリム探索や飛行試験で調整できます。
諸元の入手方法#
1. RC機メーカーのスペックシート:
- 翼幅、翼面積、総重量は通常記載されている
2. 実測(注意:今回は過去調査データ使用):
- 翼幅: メジャーで測定
- 翼面積: 翼型図から計算(または簡易計算: 翼幅×平均翼弦長)
- 総重量: デジタルスケールで測定
3. 典型値の使用:
- 推力: 機体重量の8-12倍
- 重心位置: 翼弦長の25-30%
- 空力パラメータ: 典型値
注意: D-1シリーズでは、筆者の過去調査データ(200g級RC機)を使用します。実際の測定方法は、別記事(D-2、今後執筆予定)で解説します。
諸元の整理#
次回(第2回)のExcel入力に備えて、諸元を整理しましょう。
整理リスト:
| パラメータ | 値 | 単位 |
|---|---|---|
| 翼幅 | 1.2 | m |
| 翼面積 | 0.4 | m² |
| 翼弦長 | 0.33 | m |
| 総重量 | 0.25 | kg |
| 重心位置(翼前縁から) | 0.08-0.10 | m |
| 推力 | 2.5 | N |
| プロペラ直径 | 0.23 | m (9インチ) |
| CL0 | 0.4 | - |
| CLalpha | 5.0 | 1/rad |
| CD0 | 0.03 | - |
ポイント: 単位に注意!JSBSimはメートル系(SI単位)を推奨します。
まとめ#
RC機をモデル化するために必要な諸元を確認しました。200g級RC機の具体例を整理し、次回(第2回)への準備が整いました。
次回は、これらの諸元をExcelに入力し、XMLを生成します。
次のステップ#
機体諸元の準備ができたら、次はExcel入力とXML生成です。
→ 【第2回】RC機をJSBSimでモデル化する - Excel入力とXML生成(次回執筆予定)
その他の関連記事:
- Excel入力テンプレート完全ガイド - Excel入力の詳細
- トリム探索機能の使い方 - モデル化後のテスト
参照資料#
本記事の執筆にあたり、以下の資料を参照しました:
公式ドキュメント#
- JSBSim Reference Manual - Public Domain
- Aircraft Configuration, Mass Properties
オープンソースプロジェクト#
- JSBSim XML Generator - CC BY-NC-SA 4.0
- Excel入力テンプレート、典型値
その他#
- 筆者の過去調査データ(jsbsim_investigation, private repository)
- 200g級RC機の諸元データ、パラメータ推定経験
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