テーマ2-6:スマート射場の実現に向けた基盤システム技術
テーマID: theme2_6
カテゴリ: 宇宙輸送(第二期)
作成日: 2025-10-22
テーマ2-6:スマート射場の実現に向けた基盤システム技術
概要
民間主体のロケット打上げ事業を実現するためには、射場の維持・管理コストを抑えた効率的な運用システムの構築が不可欠です。新規参入企業も含む複数のロケット事業者が射場を共通利用することを想定し、高いユーザビリティと運用の省人化・低コスト化の追求が重要な課題となっています。
本テーマでは、地上系運用の合理化・省人化、複数種ロケットの統合的な運用・解析機能、効率的な事前検証といった基盤システムに係る技術開発・実証を実施し、世界的に革新的なスマート射場の実現を目指します。
技術開発の内容
本テーマでは、以下の技術開発を対象とします:
1. 地上系運用の合理化・省人化技術
射場運用に必要な人員を削減し、コスト効率の高い運用を実現する技術を開発します:
自動化・遠隔操作技術
- 遠隔監視システム:ロケット・射場設備の遠隔からの一元監視
- 自動点検システム:センサーによる設備状態の自動診断
- ロボット活用:危険作業や定型作業のロボット化
- 無人化対応:夜間・休日の無人運用システム
統合管制システム
- 統合オペレーションセンター:複数打上げの一元管理
- リアルタイム情報共有:関係者間での即座の情報共有
- 意思決定支援:データ分析による判断支援機能
- 緊急対応自動化:異常検知時の自動対応手順
デジタルツイン技術
- 射場デジタルモデル:射場設備の詳細なデジタルモデル構築
- シミュレーション機能:打上げシーケンスの事前シミュレーション
- 予測保全:設備劣化の予測と最適な保全計画
- 仮想訓練:デジタル環境での運用訓練
2. 複数種ロケット統合運用技術
異なるロケット事業者が同一射場を効率的に利用するための技術を開発します:
汎用インターフェース
- 標準化接続規格:ロケットと地上設備の接続インターフェース標準化
- アダプター開発:多様なロケットに対応可能な汎用アダプター
- 電力供給システム:様々な電力要求に対応可能な供給システム
- 通信プロトコル統一:ロケット・地上間通信の標準プロトコル
スケジュール最適化
- 打上げスケジュール管理:複数事業者の打上げ計画の統合管理
- リソース配分最適化:射場設備の効率的な割当
- 準備期間最小化:ロケット入れ替え時のダウンタイム削減
- 緊急対応調整:打上げ延期時の迅速な再スケジューリング
共用設備管理
- 設備予約システム:射場設備の予約・利用管理
- 課金システム:利用実績に基づく公平な費用配分
- メンテナンス計画:複数事業者を考慮した保守スケジュール
- 品質保証体制:共用設備の品質維持管理
3. 統合運用・解析機能
複数のロケット打上げを統合的に運用・解析する機能を開発します:
データ統合プラットフォーム
- テレメトリ統合:異なるロケットからのデータ統合収集
- ビッグデータ解析:蓄積データの高度分析
- 機械学習活用:過去データからの知見抽出
- 異常検知AI:リアルタイムでの異常パターン検知
打上げ解析システム
- 自動レポート生成:打上げデータの自動分析・報告書作成
- 性能評価機能:ロケット性能の定量的評価
- 比較分析:過去打上げとの比較分析
- 改善提案:データ分析に基づく改善案の自動提示
安全管理システム
- リスク評価:リアルタイムでのリスク評価
- 飛行安全管理:軌道予測と落下予想区域の算出
- 緊急時対応:打上げ中止判断の支援機能
- 事故防止分析:過去データからの事故要因分析
4. 効率的事前検証技術
打上げ前の検証作業を効率化し、準備期間を短縮する技術を開発します:
仮想検証システム
- バーチャル射場:完全なデジタル環境での事前検証
- 統合シミュレーター:ロケット・地上系の統合シミュレーション
- 異常ケース検証:様々な異常シナリオの事前検証
- 訓練プログラム:オペレーター訓練の効率化
自動試験システム
- 自動点検機能:ロケット・設備の自動点検
- 性能試験自動化:各種性能試験の自動実施
- データ自動収集:試験データの自動収集・分析
- 合否判定自動化:基準に基づく自動判定
迅速対応技術
- 問題早期発見:異常の早期検知機能
- 原因特定支援:AIによる原因分析支援
- 対策立案支援:過去事例に基づく対策提案
- 修正検証:修正後の迅速な再検証
期待される効果
本テーマによる技術開発により、以下の効果が期待されます:
打上げコストの大幅削減
- 運用人員の削減による人件費低減
- 射場維持管理コストの削減
- 準備期間短縮による効率化
- 設備稼働率向上による費用回収促進
打上げ頻度の向上
- ロケット入れ替え時間の短縮
- 複数事業者の同時利用実現
- 事前検証期間の短縮
- 年間打上げ可能回数の増加
新規参入の促進
- 射場利用ハードルの低下
- 標準化による参入障壁の低減
- 中小ロケット事業者の利用促進
- 宇宙輸送産業の活性化
国際競争力の強化
- 世界最先端のスマート射場実現
- 海外ロケット事業者の誘致
- 射場サービスの輸出
- 日本の宇宙輸送産業の地位向上
公募情報
公募スケジュール
| 項目 | 日程 |
|---|---|
| 公募開始 | 2025年8月22日 |
| 公募締切 | 2025年10月30日(正午) |
| 一次審査(書面) | 2025年11月上旬~12月上旬 |
| 二次審査(ヒアリング) | 2025年12月中旬~1月中旬 |
| 審査結果通知 | 2026年1月頃 |
応募要件
必須要件
- e-Radの機関・研究者登録が完了していること
- 国内に研究開発拠点を有する日本の法律に基づく法人格を持つこと
- 研究代表者・研究分担者は日本の居住者であること
- 射場運用または地上系システム開発の知見を有すること
実施体制要件
- 射場運用技術またはシステム開発の実績を有すること
- ロケット事業者・射場運用者との連携体制
- 実証試験を実施可能な体制
- 商用化に向けた事業計画
審査基準
主な審査・評価の観点:
- 技術開発の実現可能性
– 開発技術の技術成熟度と開発計画の妥当性
– 実証計画の具体性と達成可能性
– 既存射場への適用可能性
- コスト削減効果
– 運用人員削減効果の定量的評価
– 射場維持管理コスト削減見込み
– 投資回収計画の妥当性
- 汎用性・拡張性
– 複数種ロケットへの対応可能性
– 他射場への展開可能性
– 将来技術への拡張性
- 実施体制・マネジメント
– 射場運用またはシステム開発の専門性
– 研究代表者のリーダーシップ・マネジメント能力
– ロケット事業者・射場運用者との連携体制
関連情報
国内外の射場動向
海外のスマート射場事例
- SpaceX社(米国):高頻度打上げを実現する自動化射場
- Blue Origin社(米国):再使用ロケット対応の効率的射場
- Rocket Lab社(ニュージーランド):小型ロケット専用の自動化射場
国内の射場
- 種子島宇宙センター(JAXA)
- 内之浦宇宙空間観測所(JAXA)
- 大樹航空宇宙実験場(北海道)
- 下地島空港(沖縄)
関連資料
まとめ
テーマ2-6「スマート射場の実現に向けた基盤システム技術」は、地上系運用の合理化・省人化、複数種ロケットの統合運用、効率的事前検証を実現し、世界最先端のスマート射場構築を目指す重要なテーマです。
これらの技術開発により、打上げコストの大幅削減と打上げ頻度の向上が実現され、新規参入企業を含む多様なロケット事業者の利用促進が期待されます。
応募締切は2025年10月30日(正午)です。射場運用技術またはシステム開発の専門知識を有し、スマート射場実現に意欲的な企業・研究機関の皆様は、ぜひご応募をご検討ください。

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