テーマ1B:ロケット用大型構造部品を対象とした金属3D積層に係る基盤技術開発
宇宙戦略基金第1期の「宇宙輸送機の革新的な軽量・高性能化及びコスト低減技術」において、ロケット製造の革新を目指す金属3D積層技術開発プロジェクトが2件採択されました。
テーマ概要
本サブテーマ(1B-2)は、ロケット用大型構造部品の製造に金属3D積層(Additive Manufacturing)技術を適用するための基盤技術開発を目的としています。特にWAAM(Wire-Arc Additive Manufacturing)技術を用いた大型液体推進薬タンクの製造技術確立を目指します。
採択プロジェクト一覧
1. 清水建設株式会社
- 技術開発課題名:金属3D積層によるロケット用大型液体推進薬タンクの製造技術開発
- 研究代表者:金山 秀樹
- 採択日:2024年10月25日
技術開発課題の概要:
清水建設では、金属 3D 積層造形技術の一種である WAAM(Wire-Arc Additive Manufacturing)を用いたアルミ合金製の外装材製造検討と共にロケット用燃料タンクの製造検討に取り組んでいる。WAAM の大型構造物(ロケット用タンクを含む)への適用に向けては、①大物造形プロセスの確立、②造形品質向上が主要課題となる。
①大物造形プロセスについては、造形設備の開発・導入を行い、インプロセス制御ソフト及びインプロセス計測装置の開発により、ロケット用燃料タンク開発に関する課題を洗い出し、その
解決策を検討する。
②造形品質向上については、インプロセス計測データの活用、積層厚
み安定化、ロボット空間精度向上により内部品質及び形状品質の安定化を図る。
①②の成果をもとに、③供試体製作・試験を実施する。ステージゲートとして、直径 2.5m のドーム試作を行う。その後、直径 2.5m のタンク一体造形を実施し、供試体の常温耐圧試験を行うことを最終目標とする。
2. 三菱重工業株式会社
- 技術開発課題名:WAAMを用いた軽量かつ低コストな大型極低温推進薬タンクの製造技術研究
- 研究代表者:田中 宏明
- 採択日:2024年10月25日
技術開発課題の概要:
ロケット打上げ基数増加と打上げ原価低減に向けては、推進薬タンクの製造リードタイム
と製造原価の大幅な低減が必要である。左記を達成する製造技術として金属3D造形技術
が 挙 げ ら れ る が 、 造 形 速 度 の 観 点 か ら 第 一 候 補 で あ る WAAM(Wire-Arc Additive
Manufacturing)は造形速度が速いが、ロケット用部品にも多く適用実績のある金属粉末を
用いたDEDと比較すると技術成熟度が低く、大型ロケット部品への適用に向けては
①造形品質安定化、②高強度化、③造形品質保証プロセス、④大物造形プロセスの確立が
主要課題となる。
①については、インプロセス計測データ活用により長時間造形における品質安定化を図る。
②については、層間品質の改善や熱処理条件の最適化等による高強度化を図る。
③については、効率的な欠陥検査による品質保証手法を設定する。
④については、φ1~2mドーム試作でサイズUPによる造形課題を洗い出し、変形予測を
活用した効率的な大型部品の形状精度作り込み手法を設定する。
公募・採択スケジュール
| 項目 | 日付 |
|---|---|
| 公募開始 | 2024年7月5日 |
| 応募締切 | 2024年8月30日 |
| ヒアリング | 2024年9月30日 |
| 採択発表 | 2024年10月25日 |
関連資料
- 実施テーマ詳細(JAXA公式)
- 公募要領・採択結果:JAXA宇宙戦略基金サイトにて公開
本記事は宇宙戦略基金の公式発表資料(採択結果PDF)に基づいて作成されています。

コメント